平素は京都大学外科交流センターへのご支援に心よりお礼申し上げます。
京都大学外科学講座発展のご尽力された、昭和31年卒 小澤和恵先生が2020年4月13日(月)にご逝去されたとの訃報が届けられました。
現在、皆様から小澤先生への「お別れの言葉」をお受けしております。
令和2年4月13日、京都大学名誉教授の小澤和恵先生がご逝去されました。京都大学外科交流センターを代表して、謹んで哀悼の意を表します。
小澤先生は、京都大学外科に非常に大きな功績を残されました。
昭和59年、旧第二外科の教授に就任され、外科学講座に科学を持ち込もうと、ミトコンドリアに関する研究を極め、Redox理論を提唱されました。この理論を基に、肝臓外科、特に肝癌治療に対して、根治性と切除率の向上に努めてこられました。具体的には、術前、術中、術後の周術期管理をRedox理論で統一して行うmetabolic intensive careを確立し、肝切除手術侵襲を定量化することにより、数々の手術手技を改良されました。
先生がこれらのことを常に情熱を持って、教室員にご指導されておられましたのが強く印象に残っています。
その後、肝移植手術開始に向けて、教室を挙げて取り組まれ、多くの教室員に、肝移植の手術手技を学ばせるためや研究のために留学を命じられました。私も昭和62年に大学院に進んだ際、常にパッションを持って仕事に当たるようにと指導されました。
この当時の京都大学旧第二外科学教室は、一種異様な熱気に包まれ、小澤先生の情熱がみんなに伝染しているかのようでした。
そして、この流れが平成2年6月から開始となりました生体部分肝移植に繋がります。
私は、すでに一般病院に赴任しておりましたが、初めて京都大学で肝移植を行った後の小澤先生の記者会見が誇らしくてなりませんでした。
京都大学外科が誇る肝移植手術は、小澤先生の卓越した指導力がなければ、絶対に達成できなかった大事業であったと考えます。
肝移植手術後に、病室で一睡もせずに、術後管理を自らなさったことは大変有名な話です。
一緒に術後管理を担当していた教室員が、睡眠不足に陥って困ったと話しておりました。
偉大な先生に最大限の敬意を表し、ご冥福をお祈り申し上げます。
京都大学外科交流センター理事長
岡村隆仁
ご逝去直後に、交流センターから公表がなかったことに対して、一部の先生方からご指摘をお受けいたしました。
ご家族のご意向もあり、限られた先生方以外は内密にすること、またご逝去された際には、告別式が終わるまで公表しないことを強く要望されました。
そのため多くの門下生など、本来すぐにお伝えすべき先生方に公表することができなかったことお詫び申し上げます。
また同門会による「小澤先生を偲ぶ会」は、現状の新型コロナウィルス感染症の終息後に、ぜひとも開催したいと考えております。
京都大学外科交流センターでは、小澤先生のご逝去を偲び「お別れの言葉」を残せるように、メッセージボードを設置いたしました。
ご投稿いただきましたメッセージは、専用ページで公開またご家族にご報告させていただければと考えております。