外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

京都大学小児外科セミナー2014年夏

開催日時
2014年7月6日
開催場所
京都大学医学部附属病院第2臨床研究棟8階セミナー室
参加人
21名
当日プログラム
PDFプログラム
詳細

症例報告

兵庫県立塚口病院

  • ・右横隔膜弛緩症:
  • 開胸で縫縮術施行。
  • ・腸閉塞:
  • 2歳女児、開腹歴なし、突然発症。壊疽性虫垂炎により虫垂が回腸末端に癒着しており、これにより絞扼性イレウスを発症した。
  • ・会陰部打撲:
  • 会陰部打撲後に骨盤内膿瘍形成。会陰部穿刺にて約40mlの排膿あり。尿道損傷?ミュラー管遺残?
  • 穿刺排膿後に再貯留あり。

大津赤十字病院

  • ・先天性仙尾部奇形腫:
  • 胎児診断あり。帝王切開にて出生。胎児水腫なし。
  • AFP25万。ほぼ囊胞性だが一部充実性部分あり。中仙骨動脈、左右内腸骨動脈が栄養血管となっていた。
  • 日齢5に手術施行。まず、開腹にて栄養血管を結紮切離。その後、尾骨合併切除とした。
  • 結果は成熟奇形腫であった。充実成分が多く、心不全兆候がある場合にはやはり、内腸骨動脈のテーピングが必要では?

兵庫県立こども病院

  • ・EBV関連平滑筋腫瘍:
  • 8歳女児、2歳児にネフローゼ症候群に対して生体腎移植施行。プレドニン、プログラフ内服中。
  • 胆嚢ポリープ出現。胆摘にて平滑筋腫瘍の診断。その後、肺、傍椎体、肝(4ヶ所)にも腫瘤出現。
  • 抗CD20抗体製剤にて肝以外の病変は消失。肝腫瘍生検にて平滑筋腫の診断(肉腫ではなし)。EBER陽性。経過観察中。
  • ・肝芽腫:
  • 4歳女児、腹痛・発熱・心窩部腫瘤で発見。AFP305000。肝左葉からIVC内を伸展し、心房内に到達している。現在化学療法中。体外循環を行い、摘出術を施行する予定。

静岡こども病院

  • ・虫垂腫瘍:
  • 14歳女児、下腹部痛・血便・体重減少あり。炎症反応上昇し、骨盤内膿瘍・虫垂糞石・右水腎症あり。
  • 腹腔鏡下腹腔ドレナージを行い、二期的虫垂切除の予定であったが、膿瘍再燃したため、再度ドレナージと虫垂切除を行った。虫垂の病理診断にてtubrovillous adenomaの診断。骨盤内膿瘍(腫瘍?)を摘出すべき?
  • ・小腸軸捻転:
  • 胎児期より腸管拡張指摘。羊水過多なし。胎児仮死にて緊急帝王切開。出生簿、腹部膨満、腸管拡張著明。Micro colonなし。腸回転異常なし。日齢0、開腹手術施行。小腸軸捻転・穿孔あり。
  • ストマ造設し、2nd lookを行ったが、色調改善なし。残存小腸は27cmとなった
  • ・遺伝性膵炎:
  • 7歳男児、腹痛・膵石あり。膵管拡張は4mm程度。Fry手術の適応は?膵管1cm以上の拡張がないと難しいか。

京大病院

  • ・多発小腸閉鎖症:
  • 胎児期より腸管拡張指摘。羊水過多なし。日齢0、開腹手術施行。腸回転異常症合併多発小腸閉鎖症。
  • 小腸を8ヶ所吻合。最終的に十二指腸を含めて52cmとなった。Transanastomotic tube挿入。術後1回、クレブシエラ腸炎発症。現在、EDP中心で経腸栄養を進めている。

倉敷中央病院

  • ・ヒルシュスプルング病:
  • long seg.3ヵ月時に手術施行。腹腔鏡補助下(3port)経肛門的soave法施行。脾湾曲より5cm肛門側で神経節あり。
  • ・C型食道閉鎖症:
  • VACTER連合。1000g。long gapでもあっため、TEF切離のみ施行。現在、2500g。全胃再建の適応は?できるだけ食道食道吻合がよい?
  • ・再発小腸小腸重積:
  • 2歳、繰り返す腸重積に対して小腸切除。その後再発、さらに再切除。病理では炎症性のmucosal tag。原因?結果?

ミニレクチャー

誰も教えてくれない小児外科第12弾「女児の外陰部」

大阪赤十字病院 小児外科部長 松川泰廣先生

  • 陰唇癒合・・症状なし、たまに1歳以降に排尿時痛あり。後天的なもので3,4ヵ月で見つかることが多い。
  • 陰唇上皮の損傷(不潔環境)と低エストロゲン(若年者と閉経後女性)が関与。保健指導で防げる。
  • 治療は鈍的開大とエストロゲン軟膏塗布。再癒着多いので、1週間ぐらいは注意。5歳以降の再癒合は少ない。
  • 膣閉鎖・・4000人に1人程度。見逃されやすい。
  • 内性器や尿路系の異常の合併あり。処女膜閉鎖、膣無形性、膣中隔閉鎖など。
  • 思春期の腹部腫瘤、無月経、肛門部痛等で診断。血腫ドレナージと膣形成が必要。月経発来前に手術を。
  • 母体由来女性ホルモンの影響・・膣粘膜腫脹、大陰唇腫脹、帯下、卵巣膿腫等。
  • 過剰陰唇・・新生児期の大陰唇腫脹。生後15日ごろ治ること多い。Fobromatosis?