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お名前: 岩城 謙太郎先生(H28卒) |
所属施設: 京都大学肝胆膵・移植外科:2024年12月時点 |
京都大学肝胆膵・移植外科大学院2回生の岩城謙太郎です。
令和6年度京都大学外科冬季研究会において、戸部隆吉賞を賜りました。大変光栄であり、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
貴重な機会を頂きましたので、僭越ながら、私の目標と、学術活動の過去・現在について寄稿いたします。
平成3年生まれ、平成28年熊本大学卒業の私はまさに“失われた30年”に生きてきた世代です。
ゆとり世代でもあります。
そんな事を口にする大人達を見て育ちました。しかしそれは本当でしょうか?
私は歴史が好きです。これまでの歴史を紐解けば、進むべき道は自ずと見えてくるからです。
幸い我々には皇紀2684年の豊かな歴史があります。これを顧みればただ一度の敗戦後の80年、そしてこの30年は異常であれども悲観することではありません。
では、外科医としての自分に一体何ができるのでしょうか?
まずは「お役所仕事」にならぬよう、目の前の患者の治療をよく考え真摯に向き合う。
そしてその中で、新たな知見を見出し、世界へ発信する。この学術活動が日本の競争力を高め、豊かさをもたらすと信じています。
これが私の学術活動のモチベーションです。
熊本での学生時代に、当時熊本大学移植外科で教鞭をとられていた猪股裕紀洋先生、阪本靖介先生に憧れて、京都大学で初期研修を行いました。
そして現・金沢大学教授の八木真太郎先生や現・聖路加国際病院消化器・一般外科部長の海道利実先生のご指導の下で論文執筆のイロハを学び、
初期研修医時代に2本の英語のcase reportを執筆できました。医師としての早い段階で論文執筆の基礎を学ぶことができたことは大変貴重な経験となりました。
その後、神戸市立医療センター中央市民病院では貝原聡先生にご指導賜り、初期研修医時代の仕事も含め、5年間で1本のcase reportと4本のoriginal articleを世に出すことができました。
今回戸部隆吉賞を賜りましたのは、神戸市立医療センター中央市民病院で最後に執筆した論文です。
現在、波多野悦朗先生の主宰される肝胆膵・移植外科で大学院生として研究活動を行っています。
非常に楽しく研究活動を行っておりますが、毎日、自分が如何に無知であるかを痛感しています。
今後、自分自身で研究課題を見出す力、そして明確なビジョンを持つことが、1人の研究者としてもリーダーとしても、最も大切であると考えています。
そのためには、医療の現状とその歴史を深く理解することが不可欠です。幸い、我々の大学院では、他学に比して非常に多くの自由を与えられています。
この自由を存分に生かして、医療の歴史を深く理解し、未来の医療のビジョンを描けるようになることが、大学院での目標です。
そのビジョンに基づき、丁寧に仕事をして、世界へ発信できる成果を追求していきたいと思っています。
神戸市立医療センター中央市民病院の皆様、京都大学肝胆膵・移植外科の皆様、現在ご指導賜っております所属研究室PIの石井隆道先生、
そして波多野悦朗教授へ感謝申し上げます。
京都大学外科交流センター会員の先生方、今後ともご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします。