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お名前: 西躰 隆太先生(1992卒) |
所属施設: 京都桂病院(現:兵庫県立尼崎総合医療センター) |
京都桂病院 は、京都市西京区にある施設で、京都市の西部と亀岡市、南丹市などの京都府の中部までを含めた、非常に広範囲の医療圏をカバーしている京大外科関連施設の一つです。
京都桂病院のキャパシティが更に大きくなれば、まだまだ患者さんが増える可能性がある施設です。
一方で非常大きな総合病院にも拘らず小回りの良い特徴があります。
その理由は、京都桂病院は社会福祉法人内の中核となる総合病院で、ある程度独立した意思決定が出来るということです。
もう少し解りやすく言うと、京都桂病院の上になる大きな組織はありませんので、院長・副院長と事務方で思い切った意思決定が出来るんです。
つまり若い先生達の意見であったとしても、病院改善の良い提案として認められると、スピーディに実行されます。
ハイボリューム施設なのに、小回りがきいて個々の先生達の意見を取り入れ職場環境を整えてくれるのは、なかなか稀少な病院だと思いますよ。
現在の京都桂病院の外科スタッフ数は、平成14年卒までの医師が5名と若手医師5名の合計10名です。
上級医5名は、消化管と実質臓器の臓器別グループで分れて構成されています。
科としての意思決定とか患者さんの治療方針は、各臓器別のスタッフが決めていますけど、若手は区別無く全ての手術に入ります。
症例数に対して人数も少ないので、臓器別とはいえお互いの手術に入る非常に緩やかなチーム制ですね。
10名の外科医で 年間1000例以上の外科手術、700例以上の全麻手術症例を担当しているわけですから、暇が無いほど手術で忙しくしていますよ。
手術が多いことは、外科医としても指導を受ける若い先生達にも有り難いことなのですが、一つの手術が長引けば患者さんの負担にもなりますし、手術に入る麻酔科や手術部スタッフにも迷惑がかかるため、指導のためとは言え、あまりゆっくりと手術をすることは出来ません。
若い先生たちには出来るだけ多くの手術を経験してもらって、手術手技を向上してもらいたいと思ってはいますが、どうしても高難易度手術などで時間がかかりそうな部分の手術手技に関しては、指導医が対応し、またすぐに若い先生の手に返すようにしています。
そうすることで、限られた人数と時間の中でも手術のクオリティを落とさずに対応出来ています。
若い先生達には、出来るだけ短期間で手術手技を向上してもらいたいので、鉗子操作や体腔内縫合などの必要な技術が一通り経験できる「腹腔鏡下ヘルニア根治手術」を積極的に経験してもらっていますね。
もちろん「ヘルニア手術」だけでなく、臨床の幅広い症例が集まるのが京都桂病院の特徴とも言えますが、最近では麻酔科が充実してきたので、全身麻酔のキャパシティが増えました。
そのため虫垂切除はじめ様々な症例に対して、全身麻酔で対応出来るようになり、腹腔鏡下手術も選択出来るので、若い先生達もストレスなく手術に臨むことが出来て手術手技向上につながっていますね。
短期間の間に様々な経験を積む事が出来るのは、当院のメリットだと思いますね。
実際に、当院で修練している専攻医の先生は、たった一年弱で外科専門医取得に必要な症例数を揃えることが出来ましたからね。今は、外科医として積極的に色々な外科症例に入ってもらって経験を積んでいるところです。
ただ、仕方のないことなのかもしれませんけど、手術手技の向上を目指して努力して、アピールしないと誰にも伝わりませんし、情報収集を怠ると独りよがりになってしまうのも事実です。
そこで・・・これは京都桂病院というか、当院の間中副院長のモットーとも言えるのですが、若い先生達には積極的に学会発表を行うように勧めているんですね。
学会に参加することで、自分の外科医としての成長を周りにアピールするだけでなく、学会で発表される情報を聞いて、今の外科医療の流れを知ることが出来るので、外科医として時代に合った努力を続ける助けになります。
そして学会に参加することで、同年代の先生たちや先輩の先生たちなど知り合いが必ず増えます。
知り合いが増えると、ツテを頼りに他の施設へ手術見学などに行く機会ができますよね。
そういった機会は、自分の外科医としての幅を広げられるチャンスなので、縁を作るという意味でも学会発表には、積極的に参加するように若い先生達には勧めていまし、どんどん見学にも行くようにハッパをかけています。
修練中の若い先生達をみていると「自分にはまだ無理だ」と思って、自分で自分の能力に制限をかけてしまっている先生達がいます。
多くの場合は「出来ない!」と自分で思っているだけで、ちゃんと場を整えてあげさえすれば、少しくらいの困難症例は問題なく出来てしまうものです。
そういう若い先生達が少しでも早く成長してくれることを願って、当院では意識的に「ちょっと背伸び気味の手術」や「少し上のポジション」を経験してもらうようにしています。
実は、私自身が若い頃は、腰が引けて自分自身で成長にブレーキをかけていた外科医でした。
京都大学関連病院の関西電力病院に在籍していた時には、当時の外科部長 滝吉郎先生(現:院長代理)に、容赦なく「やってみろ!」とよく言われましたよ。(笑)
最初の頃は脂汗をかきながら手術していたんですけどね・・・滝先生の辛抱強い指導もあり、最初の厚い壁を越えて達成感を重ねる内に、心の中の不要なリミッターはずいぶん小さくなったと思います。
同じように若い先生達にも、自分で成長を滞らせないように、少し背伸び気味の役割をお願いして「成長を実感」して欲しいんです。
もちろん手術の出来や仕事は、指導医と同じクオリティになるようにサポートしているので安心してください。
そして、これは私の個人的な方針なのですが、若い先生達には「生意気」な外科医になっていただきたいと思っています。
聞こえは良くないかもしれませんが、まずは自分に自信がないと前に進めませんから、ちょっと「生意気」なくらいの方が良い。
色々やらかして、学んで、後でちょうど良いくらいになれば良い。
ぜひ若い先生達にも「生意気」になって、自分主導で積極的に様々なことに挑戦してほしいと思っています。
もちろん「生意気」な外科医を育てるのは、簡単じゃありませんよ!
言うこと聞きませんしね(笑)
そういう先生たちに、手術中に頭ごなしで「そうじゃない!こうしなさい!」と言っても、反発したり萎縮したりするだけで彼らの心に響きません。
聞いてもらうためには、指導側には「なぜ、それをしないといけないのか?」納得できる理由を説明することが求められます。
納得が伴わないと、若い先生達への指導にもならないと思います。
あとは指導のタイミングをいつも意識しています。
例えば、手術中に「手がちょっと止まっている時」とか「迷っているふしのある時」、少し「油断して確認を怠っている時」の「ここぞ!」というタイミングで一言二言短くアドバイスするんです。
すると「生意気」な先生でも、浸み込むように指導医の言うことを聞いてくれます。
もちろん、そういう見極めた上での指導は、相当な実力差が無いとできませんし、指導のタイミングを見逃さないようにするためにも「指導的助手」として、常に若い先生達と一緒に手術に入る必要があります。
実力差を保つためには、私自身様々な専門資格の維持と手技の向上を努力する必要がありますし、指導するための時間も必要になります。
でも指導医として高い目標が設定されていると、自分のモチベーションも高く保つ助けにもなるので、楽しんで取り組んでいるところです。
京都桂病院の外科医は、症例が多いため朝から晩まで手術する日も多くて大変です。
でも緊急手術や病棟での重症患者さんがいなければ、意外に早く18~19時には帰宅することもあります。
それに手術がない時は、モチベーションの高いコメディカルスタッフのおかげで、時間を自由に使えます。
看護師さん達は「この人達は、なんでこんなにサービス精神旺盛なんだ!?」と思うぐらい働いてくれますし、薬剤師さんは、見落としがないか細かなチェックをして指摘してくれます。
本当に京都桂病院のスタッフは、医師が引っ張られるくらいモチベーションが高くて助かっています。
それと当院の消化器内科に、肝臓専門医が3名在籍しているため、全国的に減少傾向にある肝切除症例も豊富です。
さらに、最新鋭の放射線治療が導入され、局所進行膵癌に対する手術症例が増えました。
胆、膵領域の指導医を中心にした胆膵チームがアクティブに頑張っており、バックアップ体制も充実しています。
肝胆膵外科医になるためには、症例経験が沢山求められるため、症例が十分に揃っている施設でないと難しいですよね?
その点、京都桂病院では資格取得に必要な肝胆膵領域の症例を集めることが出来ますので、十分に経験を積むことが出来ます。
そういう外科手術の経験は、絶対に外科医を裏切らないものですので、経験すればするほど自分の外科医としての存在意義は増していきます。
ぜひ京都桂病院に来て頂いて、生意気でも良いので「自分に出来ないものは無い!」と思いながら、色々なことに挑戦して外科医としての存在意義を高めて欲しいと思います。
京都桂病院は、若い先生達が「自分の可能性」をどんどん広げることができる病院ですので、ぜひ京都桂病院で一緒に働きましょう!