お名前: 仲野健三先生(2009年卒) |
所属施設: 京都大学大学院医学研究科肝胆膵・移植外科 |
この度は、昨年12月に開催されましたISEM西日本支部主催、第4回上級 マイクロサージェリー 吻合技術習得セミナーにおきまして、小林英司賞の表彰を頂き、大変光栄に存じます。
今回のセミナーを受講するきっかけとなりましたのは、私が大学院に帰学した2015年に マイクロサージェリー ハンズオンセミナーを受講させて頂いたことです。
人工血管を用いた顕微鏡下血管吻合の技術について学ぶ機会を頂き、移植医療を志す他大学の大学院生と交流することもできました。
その当時の私は、20分の制限時間内に1針しか掛けることができず、把持していた人工血管もボロボロにしてしまうという散々な結果でした。
吻合の手順、運針などについてのレクチャーやデモ動画で予習はしていたのですが、思うようには手が動かず、歯痒い思いをしました。
手術のイメージやプランニングをしていても、そのように手が動かせなければ上手く手術ができないという、外科医になりたての頃の悔しい気持ちが蘇りました。
それ以来、血管吻合を行う機会はありませんでしたが、肝移植手術の際にはマイクロサージェリーでの動脈吻合を見て手順について整理し、再挑戦の時機を窺っておりました。
研究室に配属されてからは、膵臓グループでマウスの膵発生に関する基礎研究を行っており、体長1cm程のマウス胎児から、実体顕微鏡下で膵臓を採取して解析する実験を続けてきました。
実験を繰り返す中で、操作を安定させ、無駄を省き、スムースな流れを作り上げてゆく必要があり、顕微鏡下の細かい作業に慣れることができました。
この経験を重ねたことで、今回の再挑戦では思わぬ成果をあげることができ、嬉しく思います。
小林先生、八木先生、上本先生をはじめ、セミナーを運営して頂きました先生方には、このような機会を頂きましたことに深く感謝申し上げます。
私なりにまとめますと・・・・
ということが挙がります。
「 マイクロサージェリー 」というと、高難度で敷居の高いものに感じられるかもしれませんが、これらのポイントは腹腔鏡手術の習得・習熟におけるものとほとんど同じだと思います。
目線を接眼レンズに置き、手元を直接見ない状況で手を動かすのも、腹腔鏡手術に通じるところがあると感じます。
大学院での研究は、一見臨床とは縁遠そうなものもありますが、それを突き詰め、その中で何かに活かせるものがあるかもしれないという視点で見ると、様々な発見や気付きがあると思います。
私自身、そうして感じたこと得たことを還元できるよう、研鑽を続けて参りたいと思います。
この度はありがとうございました。