小児外科セミナー症例報告
大津赤十字病院
- 胆道穿孔:
- 7ヵ月。総胆管結石による。合流異常なし。胆嚢摘出術、Cチューブドレナージ施行。胆道穿孔は乳児の3管合流部に多いとされる。
- 十二指腸閉鎖症(胎児診断)・A型食道閉鎖症(出生後診断)・VSD・21トリソミー:
- 十二指腸十二指腸ダイヤモンド吻合施行。術後吻合部通過障害を認め、十二指 腸空腸吻合を追加。その後も経腸栄養すすまず。
兵庫県立塚口病院
- 遺伝性楕円赤血球症:
- 単孔式腹腔鏡下脾臓摘出術施行。
- 小腸閉鎖症2例:
- いずれも胎児期腸重積によるものと考えられた。1例は術前に腸重積と診断。肛門側小腸が長い範囲で重積。
京大病院
- 食道異物:
- 2歳。喘鳴、嘔吐にて発症。内視鏡的摘出施行。縦隔膿瘍または重複食道による気管、食道圧排が残存。手術による膿瘍ドレナージまたは嚢胞摘出が必要か。
- 肝芽腫2例:
- 1例は胆道再建、もう1例はIVC再建を要した。
- 新生児壊死性腸炎:
- ストマ造設。術後DIC発症、肝被膜下出血、腹腔内出血にて再開腹。
北野病院
- 右先天性横隔膜ヘルニア:
- 日齢16。横隔膜挙上症疑いにて手術。有嚢性横隔膜ヘルニアに対して胸腔鏡下横隔膜閉鎖術施行。最外側はラパヘルクロージャー使用。
- 胆道閉鎖症:
- USにて胆道閉鎖症を指摘。日齢11で葛西手術施行。
- 十二指腸狭窄症:
- 4ヵ月。腹腔鏡下に狭窄部膜切除術施行
- 膵胆管合流異常症:
- 8歳。腹痛あり。MRCP、術中胆道造影にて診断。腹腔鏡下分流手術施行。膵内胆管は吸収性クリップで処理。
- CCAM:
- 7ヵ月。2型。開胸下に摘出。
- 肛門管重複症、仙尾部奇形種:
- 11歳。MRIにて診断。
兵庫県立こども病院
- 直腸膣瘻:
- Mayer-Rokitansky-Kuster-Hauser症候群合併。人工肛門造設術後。肛門形成術施行。
- 直腸膣前庭瘻:
- 鎖陰、重複膣、双角子宮、心奇形、気管狭窄合併。肛門形成術時に膣口も形成。
ミニレクチャー 1
「門脈還流異常症について」
京都府立医科大学附属病院 移植・一般外科 准教授 岡島英明先生
- 先天性門脈欠損にはTypeI(total shunt)とTypeII(partial shunt)がある。 高ガラクトース血症、高アンモニア血症、高胆汁酸血症、低血糖等を引き起こす。肝内腫瘤性病変を形成する。FNH>>HCC、Hapatoblastoma。二次性肺動脈病変(肺高血圧や肺内シャント)を呈する。TypeIは二次性肺動脈病変が出現すれば肝移植。TypeIIはocclusion testにてPV圧17mmHg以下であればシャント結紮。症状出現し、シャント結紮の適応外なら肝移植。最近は横浜市大の小林分類を用いることもある。
ミニレクチャー 2
誰も教えてくれない小児外科シリーズ第8弾「中腸軸捻転症のすべて」
大阪赤十字病院 小児外科部長 松川泰廣先生
- 胎児の腸管は、10週で腹腔内に還納される。8週から11週にかけて270度捻れ、12週頃に固定される。この時点での異常で腸回転異常症となる。年長児の慢性軸捻転ではSMAが血栓化していることもある。側副血行路が発達。手術は腸間膜を十分開いておくことが大切。再捻転は2,3年以内が多く、診断が遅れがちになる。