一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)
京都大学小児外科セミナー2016年冬
- 開催日時
- 開催場所
- 京都大学医学部附属病院第2臨床研究棟8階セミナー室
- 参加人
- 名
- 当日プログラム
- PDFプログラム
- 詳細
症例検討
- ●Henoch Schönlein紫斑病:
- 7歳男児。腹痛にて発症。紫斑出現後に診断に至りステロイド投与で加療。その後腹痛の増悪寛解を繰り返して3ヵ月以上経過。 最終的に腸閉塞にて開腹術を施行。手術所見では回腸穿通に伴う膿瘍形成があり、回腸部分切除術を施行した。小腸穿孔にいたったHenoch Schönlein紫斑病の症例はまれであり、診断に苦慮した点を含めて討議した。
- ●声門下嚢胞疑い:
- 3ヵ月男児、双胎、出生後6日間挿管後吸気性喘鳴で発症。Xpで声門下気道に陰影あり、努力性呼吸が強く、術前に経鼻挿管を要した。 硬性気管支鏡で切除できたのは肉芽のみであった。声門下嚢胞は挿管に伴い反転した気管粘膜由来の嚢胞であり、術前の挿管で破裂したと考えられた。今後気管支ファイバーなどで再発の精査が必要との意見が出た。
- ●尿膜管遺残:
- 日齢2に臍部異常で紹介。造影で尿膜管遺残の診断のもと新生児期に尿膜管遺残切除術施行。
- ●毛髪胃石:
- 3歳女児。腸閉塞症状で発症。溶解療法(プロナーゼ、重曹、コーラなど)で発症後12日と時間を要したが排泄された。
- ●左先天性横隔膜ヘルニア:
- 胎児診断例。胸腔鏡下横隔膜修復術を施行。術後経過で胸水貯留とその穿刺ドレナージを要した。気胸圧に関して質問があり 導入時に8気圧まであげるが術中はほぼ4気圧に維持していると症例の選択と術式の利点に関して討議があった。NOと胸水の関係に関して意見が出た。
- ●仙骨前腫瘤(Epidermal cyst):
- 24歳女性。宿便、尿失禁、しびれなどを主訴に発症。精査で仙骨異常、脊髄稽留症、多発性硬化症も合併。仙骨前腫瘤切除術 などを施行。クラリーノ症候群の可能性は?。直腸膀胱障害の有無の精査と排便管理が必要ではないかと意見があった。 ●外傷性膵損傷:
4歳男児。腹部打撲後1日目で当該医受診。CTなので単独膵損傷の診断のもと、膵嚢胞ドレナージ、ERCP下ENPDといった保存的加療後、受傷後2ヵ月で膵管膵管吻合を施行された。術後腹痛、膵酵素の再上昇があり縫合不全が疑われる。選択術式、施行時期などに関して討議された。
- ●胆管瘤 膵管瘤:
- 膵炎、肝酵素異常にて発症の4歳男児。MRCPで胆管瘤、膵管瘤の診断を得た。画像から膵胆管合流異常の可能性もあり、ERCPで 評価すべきではとの意見が出た。
- ●反復膵炎:
- 十二指腸閉鎖術後 輪状膵 対称肝 内臓錯位 単心房単心室の6歳女児。 MRCP上膵管内の蛋白栓などを疑う陰影欠損がある。 この症例もERCPをすべきではとの意見が出た・全結腸型ヒルシュスプルング病:日齢1に活気不良にて発症。診断に難渋し生後34日目に手術を施行し、Step biopsyで診断がついた。人工肛門造設術(回腸瘻) 後順調に経過している。病理の再検討が必要ではと意見が出た。体重増加をまって根治術は単純なSoaveでいいのではとの意見であった。
当日の様子