外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

第18回京都肝胆膵外科セミナー

日時
会場
メルパルク京都
参加
89名
詳細
-

Ⅰ.製品情報提供(15:00~15:10)

 CSLベーリング株式会社 関西エリア

Ⅱ.多施設共同臨床試験の進捗状況(15:10~15:20)

「 同時切除不能⼤腸癌肝転移に対する肝先⾏切除ま た は原発巣先⾏切除の有⽤性および安全性の検討」

京都肝胆膵・移植外科 奥野将之先生

Ⅲ.第18回京都肝臓外科セミナ⼀・シンポジウム

テーマ 「系統的肝切除~確実かつ安全な⼿術を⽬指して」

【第一部】 開腹肝切除 15:20~16:00

術前解析を駆使 した肝中央2区域切除における系統的縮⼩⼿術

⽥附興⾵会医学研究所北野病院 消化器セ ン 夕ー  後籐 徹先生

当科における右葉系系統的肝切除に対する取り組み

神⼾市⽴医療センター中央市⺠  岩村 宣亜先生

【第二部】 腹腔鏡下肝切除 16:20~17:30

腹腔鏡補助下生体肝移植ドナー肝採取術

京都⼤学肝胆膵・移植外科 福光剣先生

肝⾨Glissor 一括処理を⽤いた系統的肝切除;開腹・腹腔鏡下での手術手技

倉敷中央病院 甲田祐介先生

腹腔鎮下⼿術における系統的肝S8切除

がん・感染症セン⼣ー都⽴駒込病院肝胆膵外科 本庄真彦先生

Ⅳ.総括

京都大学肝胆膵・移植外科 上本伸二先生

 

開催報告

 

2016年9月17日(土曜日)にメルパルク京都において第18回京都肝胆膵外科セミナーを開催いたしました.

「京都肝臓外科セミナー」から「京都肝胆膵外科セミナー」に改称して2回目となります.今回も,近畿2府3県を中心に東は東京都から西は福岡県まで多くの施設からご参加いただきました.また他大学からも3名のご参加をいただき,総勢89名の参加者となりました.ご参加頂いた皆様に厚く御礼を申し上げます.

前回のテーマは膵臓外科でありましたが今回は肝臓外科を扱いました.「系統的肝切除〜確実かつ安全な手術を目指して」というテーマで募集したところ,各施設から5題の興味ある演題を応募いただきました.

開腹手術が中心の2題と腹腔鏡手術を応用した肝切除の3題とで,2部構成として会を進行させていただきました.今セミナーではミニレクチャーや特別講演はプログラムしておらず,比較的各演題に時間的余裕があるつもりでいましたが,いつも通り丁寧に作られた魅力的なビデオ発表や,熱のこもったディスカンサントとの質疑応答・議論で予定時間を超えてしまいました.

前半の2題は開腹手術を中心にした演題でした.北野病院:後藤徹先生からは,S5領域を可及的に温存する肝中央2区域切除術を提示していただきました.術前の画像シミュレーションで作成した緻密な手術デザインを元に残肝容量とsurgical marginを確保する工夫を示していただきました.神戸市立医療センター中央市民病院:岩村宣亜先生には定型的な右葉切除を例に,不慮の出血に対応できるような工夫と手術手技とを発表していただきました.

後半は腹腔鏡を用いた肝切除に関する3演題でした.京都大学:福光剣先生からは生体肝移植ドナーにおける腹腔鏡補助下部分肝切除術について発表していただきました.特に安全性が求められるドナー手術において安全性を担保しつつ低侵襲性を求めるために行われている手技が示されました.倉敷中央病院:甲田祐介先生からは開腹及び腹腔鏡手術でのグリソン一括処理について発表していただきました.最後に都立駒込病院:本庄真彦先生からは腹腔鏡下系統的S8亜区域切除術について提示していただきました.肋間ポートを用いて頭側からS8領域の肝切除を進めるアプローチを発表していただきました.全5施設とも有数の肝切除数を誇る施設であり,腫瘍切除の確実性と手術関連合併症を減らす工夫が示され,ご参加いただいた先生方にも有用であったのではないかと思います. さらに,京都大学:奥野将之先生からは新たに立ち上がり,現在進行中の臨床試験「同時切除不能大腸癌肝転移に対する肝先行切除または原発巣先行切除の有用性および安全性の検討」についてその意義や試験概要,進捗状況を報告していただきました.始まったばかりであり未だ登録症例数は多いとはいえませんが,本セミナーから臨床試験を通して情報発信するべく,引き続き関連施設の諸先生方からのご協力を仰ぐ次第です.

次回は2017年3月25日(土曜日)にいつも通りメルパルク京都において開催を予定しております.具体的なテーマが決まりましたら改めてご連絡させていただきますので,次回以降も多くの皆様のご参加をよろしくお願い申し上げます.

 

文責:石井隆道