外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

第3回京大関係病院肝臓外科セミナー

開催日時
開催場所
メルパルク京都
参加人
105名
当日プログラム
PDFプログラム
詳細

テーマ

「肝切除の知っておくべきテクニック  ~術中出血量を減らすコツと各種テーピング操作~」

 

報告

1月31日に開催された「第3回京大関係病院肝臓外科セミナー」について事務局よりご報告申し上げます。当日は、他のいくつかの研究会が重なっており、しかも大学では緊急手術も行われているという状況下で、105名もの先生方にご参加いただきました。本当にありがとうございました。
第3回のテーマは、肝切除の実際の手術手技のノウハウを勉強し直そう、という観点から「肝切除の知っておくべきテクニック~術中出血量を減らすコツと各種テーピング操作~」としました。以下に発表内容のポイントを記しました。

1.
福井赤十字病院 土居幸司先生:肝切除手技において非常に有用なグリソン一括テーピングとhanging maneuverのコツと注意点につき、多くの症例ビデオを用いて提示して頂きました。

2.
がん・感染症センター都立駒込病院 本田五郎先生:肝切離中の肝静脈の扱いについて、アプローチのコツや止血のテクニックなどを豊富なイラストやアニメーションを交えて発表していただきました。

3.
滋賀県立成人病センター 豊田英治先生:成人病センターで実際に行われている各種テーピング操作のコツについて、発表していただきました。

4. 京都大学肝胆膵・移植外科 安近健太郎先生:TACE/RFA/PEITによる反復治療後に制御不能となった多発肝細胞癌に対する手術ビデオをもとに、高難度肝切除における肝門部テーピング操作やhanging maneuverの意義を発表していただきました。
5.
神戸市立医療センター中央市民病院 貝原聡先生:生体肝移植ドナー手術の手技を応用した肝後区域切除を呈示していただきました。クリップの使い方やhanging maneuverの有用性などを発表していただきました。

最後に、社会保険小倉記念病院の田中明先生からの総括発言として、全肝血行遮断total hepatic vascular exclusionの意義と有用性を再認識するべきだ、との提言を頂きました。

全体討論に充てる時間が無くなるほど各演題に対する質疑応答が盛んであり、会を円滑に進行するべき座長の立場からは、うれしい悲鳴を上げたくなる程のおもしろさと盛り上がりであったと感じています。ただ、若手の先生方がもっと自由に気兼ねなく参加し、しかも発言していただけるような工夫が必要であると再認識いたしました。

関係病院の多くの先生方が自発的・積極的に参加できるセミナーになるように、事務局として一層の努力を重ねていきたいと考えております。今後とも、ご協力ならびにご指導・ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

第4回セミナーは6/27(土)にメルパルク京都にて開催する予定です。
次回は特別にテーマは設けず、興味深い症例や診断・治療に苦労した症例を発表していただき、retrospectiveにいろんなdiscussionを行う形式にしようと考えております。また、原則ビデオ発表が望ましいですが、通常のスライド発表も受け付けます。肝臓外科症例であれば何でもOKですので、多数の施設からの発表をお待ちしております。
(文責:田附興風会北野病院 寺嶋宏明)