外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

第4回京大関係病院肝臓外科セミナー

日時
会場
メルパルク京都
参加
83名
詳細
-

症例検討形式

「経験から学ぶ~興味深い症例、治療に難渋した症例~」

報告

初夏の汗ばむ季節のなか、上本教授の「京大の肝臓外科の伝統をどんどん発展させていってください」というご挨拶のもと第4回の京大関係病院肝臓外科セミナーが開催されました。場所はいつもどおり京都駅近くのメルパルク京都です。今回は83名の参加者を集めました。今回は特別なテーマを設けず、「経験から学ぶ~興味深い症例、治療に難渋した症例~」として症例検討方式としました。動画を含んだ発表をこれまで原則としてきましたが、多くの施設に発表、参加していただきたいということで、今回は動画のない発表も可として全部で7題の発表となりました。

1.
公立小浜病院菅野元喜先生より「腹腔鏡手術後に2期的に肝切除(肝右葉切除術・中2区域切除術)を施行した巨大肝転移を伴う高齢者大腸癌の2例」と題して高齢者同時性肝転移症例に対する治療戦略をお話しいただきました。

2.
大和高田市立病院中村友哉先生より「大腸癌多発肝転移症例の検討」と題して施設の大腸がん肝転移症例を紹介し、最近経験したH3症例に化学療法を施行した後の肝切除について発表していただきました。

3.
京都大学中村公治郎先生より「化学療法により同定困難となった転移性肝癌に対して腹腔鏡下肝部分切除を施行した症例」と題して腹腔鏡下肝部分切除のビデオと化学療法後の肝転移の治療方針や同定困難となった腫瘍の検出方法に関して発表していただきました。

上記3題に関しては最近の大腸がん化学療法の進歩に伴い、肝転移症例の集学的治療に関して熱い議論が繰り広げられました。 また、社会保険小倉記念病院藤川貴久先生より「正常肝に生じた門脈瘤の1症例」と題して珍しい門脈瘤に関しての発表を頂きました。手術方法に関して様々な意見交換が行われました。

休憩をはさんで胆道癌に関する3題が発表されました。

1.
関西電力病院粟根雅章先生より「肝門部胆管癌に対する肝切除の1例」と題して肝門部胆管癌の周術期管理、術式選択に関しての考察および右3区域切除 胆管切除のビデオを紹介していただきました。

2.
高松赤十字病院廣瀬哲朗先生より「肝門部胆管癌への戦略~HPD(肝切除+膵頭十二指腸同時切除)の適応とその手技」と題して、施設での肝門部胆管癌の症例とHPDのビデオを紹介していただきました。

3.
田附興風会北野病院多田正晴先生より「進行胆嚢癌に対する治療~予定PVEが施行できなかった場合にどういう治療を選択するか?」と題して胆嚢癌の診断、進行度の評価、術式選択、実際の手術ビデオを発表していただきました。

今回も非常に活発なディスカッションで盛り上がりました。学会ではみられない、内輪の会であるが故の厳しい意見が飛びかいました。治療方針や術式に関してはカンファレンスのような雰囲気で、予想どおり予定時間を1時間オーバーすることになりました。

ひとつ残念だったのは今回の発表や質疑で若手からの発言が少なかったことです。次回は若手も発表しやすいテーマを予定しますので、是非若手からの発表や質問を歓迎したいと思います。
次回の第5回は平成22年1月30日を予定しています。