外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

第5回京大関係病院肝臓外科セミナー

開催日時
開催場所
メルパルク京都
参加人
103名
当日プログラム
PDFプログラム
詳細

テーマ

「若手外科医による肝切除~指導医の立場から、術者の立場から~」

 

報告

寒波吹きすさぶ中、100名(!)を超える同門の先生方に集まっていただき、第5回京大関係病院肝臓外科セミナーが開催されました。場所は定宿とも言うべきJR京都駅前のメルパルク京都。今回のテーマは、各種学会や研究会において若手外科医の育成や教育というテーマが取り上げられている時代の要請と潮流を鑑み、「若手外科医による肝切除~指導者の立場から、術者の立場から~」としました。
さらに新しい試みとして京大以外の風を吹き込もうと考え、大阪市立大学肝胆膵外科から久保正二先生と竹村茂一先生の両先生をお招きしました。そして、大阪市立大学における肝切除の指導体制の現状や若手外科医の実際の執刀症例を呈示していただき、大学間の枠を超えた活発な討論を行いました。

第1部は京大関係病院からの症例呈示です。
まずは、田附興風会北野病院 多田正晴先生(H8.卒)より「転移性肝癌に対する後区域切除~若手(?)外科医から見たコツと盲点」と題して、柔らかくて扱いがしばしば難しい正常肝での系統的肝切除について、”肝切離面をいかに維持するか”、という観点から発表していただきました。次代の指導者と期待されるにふさわしい非常に丁寧で緻密な肝切除手技を呈示して頂きました。
次の2題は本当の(?)若手外科医による肝切除の症例提示です。滋賀県立成人病センターからは「当院における若手外科医による肝切除の実際」と題して、竹本研史先生(H15.卒)と井口公太先生(H17.卒)の両先生から自ら執刀した手術症例を呈示して頂きました。各先生方がご自分の手術を振り返り、満足した点や反省点を忌憚なく発言していただき、また指導者である財間先生からはこのような若手外科医に積極的に肝切除を執刀させる際の意気込みや熱い思いを語っていただきました。
そして最後は神戸市立医療センター中央市民病院 木口剛造先生(H17.卒)より「若手外科医の立場からみた肝切除の要点とコツ」と題して、卒後5年目とは思えない、見事な手つきの肝切除を呈示していただきました。指導者である貝原先生の教えにきちんと従い、それを忠実に再現できる能力には舌を巻く思いでしたが、この施設の肝切除における一貫した指導/教育理念がひしひしと伝わる印象深い発表でした。

第2部は大阪市立大学肝胆膵外科の久保正二先生と竹村茂一先生からの講演と症例提示です。まず久保先生から大阪市大の外科研修制度と肝切除指導体制について概論を述べていただき、現在の肝切除における周術期管理(ほとんどの症例がクリニカルパスで管理可能とのこと!)にも言及していただきました。次に竹村先生より実際の肝切除症例のビデオ供覧です。大阪市大の昨年1年間の肝切除症例は130例を超したそうで、その豊富な臨床経験に裏付けられた肝切除手技は非常に説得力のある物でした。最後に久保先生から日本肝胆膵外科学会高度技能医制度についての現状と問題点や今後の展望について発言いただきました。どのpresentationも非常に興味深い内容で、多くの質疑応答やdiscussionが交わされました。

今回のセミナーの熱気を見て、「やはりこのセミナーはビデオ主体の運営が望ましく、参加する先生方もそれを大いに期待している」、という事を再認識しました。今後もテーマや企画に工夫を凝らし、同門の皆さんが興味と期待を持って積極的に参加できるようなセミナーにしたいと考えております。ご協力とご支援の程、宜しくお願いいたします。
なお、次回第6回は平成22年7月31日(土)(会場:メルパルク京都)で、テーマは「腹腔鏡下肝切除」を予定しています。ご期待下さい。

(文責:田附興風会北野病院 寺嶋宏明)