外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

第7回京大関係病院肝臓外科セミナー

開催日時
開催場所
メルパルク京都
参加人
115名
当日プログラム
PDFプログラム
詳細

テーマ

「残肝機能温存を目指した系統的肝切除の工夫とコツ」

 

報告

第7回京大関係病院肝臓外科セミナーの報告をいたします。
春の訪れとともにようやく暖かくなってきた京都の地で、115名(!)の同門の諸先生方にご出席いただきました。今回は3月11日の東日本大震災の影響で開催が危ぶまれる中、関係者の方々の暖かいご理解のおかげもあり無事開催させていただくことができました。まずはこの場をお借りして御礼申し上げます。

今回の会では新しい取り組みとして、平成4年卒の若手外科医の視点でセミナーの準備・運営・進行を全て行うこととなりました。今回のテーマについては多くの平成4年卒の同期生に声をかけ一般病院での肝臓外科治療に役立つような興味あるテーマを模索すべく議論した結果、「残肝機能温存を目指した系統的肝切除の工夫とコツ」をテーマといたしました。

まず第一部では、京大関係病院4施設からの症例提示をいただきました。静岡市立病院、大目祐介先生(H17卒)には「大腸癌肝転移に対するグリソン鞘一括処理による完全腹腔鏡下肝左菜切除術 (尾状菜温存)」と題しまして、左葉切除のグリソン一括処理にかかわる術前評価と手技の工夫について論じていただきました。つづいて小倉記念病院、前川久継先生(H18卒)には「後区域枝からP5枝が分岐すると思われた症例での系統的後区域切除-グリソン分割処理からの考察」と題しまして、グリソン一括処理を行う場合のS5に相当する領域のvariationへの理解につき、招待講演者の片桐先生も交えて興味ある討議をいただきました。3題目の都立駒込病院、奥田雄紀浩先生(H15卒)には、「Outflow blockを活用したAnterior fissure (AF)の同定法とAFを利用した肝区画切除術」のテーマで、S8領域の区画切除とAFの描出によるうっ血境界線の描出について論じていただき、最後に京都医療センター、小木曾聡先生(H14卒)には「転移性肝癌に対する、中肝静脈合併、肝S4及びS8腹側領域切除」と題しまして、S8領域の区画切除における手技と工夫につき、会場を交えて活発なご討議をいただきました。各施設ともテーマに沿った大変興味深い症例を手技のビデオ供覧を重点的にご提示いただきました。

第二部では、東京女子医科大学消化器病センター消化器外科講師の片桐 聡先生にご講演と症例提示をいただきました。「肝硬変合併肝細胞癌に対するグリソン一括肝区域切除、区画切除」と題しまして、多くの症例をわかりやすいビデオの呈示によりご説明いただきました。区画切除の理論もさることながら、硬変肝における肝実質切離のテクニックを含め非常に興味深い内容でした。司会を取り仕切っていただいた猪飼伊和夫先生や会場の諸先生方との間で、多くの実りある質疑応答やdiscussionが交わされました。

これまでの本セミナーの方針通りビデオ主体の運営で行うことができ、また多くの諸先生方が熱心に参加いただく姿をみて一応の成功を収めることができたと平成4年の同期生一同安堵しております。いっぽうで、不慣れな点が多々あり、多くの関係者の方々に多大なるご迷惑をおかけしながらの運営・進行となりましたこと、何卒ご容赦ください。最後になりましたが、震災直後で大変な状況のなか、東京から熱い情熱を持ってご参加いただきました片桐聡先生に、この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。

これからも同門の諸先生方に期待していただき積極的に参加いただけるようなセミナーにしていけるべく協力させていただきたいと考えております。皆様方にもご協力とご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

(文責:社会保険小倉記念病院 藤川貴久)