外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

第8回京都肝臓外科セミナー

日時
会場
メルパルク京都
参加
87名
詳細
-

テーマ

「高度技能専門医取得を目指して~どうすれば?どうさせれば?」

 

報告

非常に遅くなりましたが(事務局の怠慢と責められても返す言葉がございません…………)、第8回京都肝臓外科セミナーの概要を報告致します。

2011年9月10日の残暑厳しい中、約90名の同門の諸先生方にご出席頂きました。今回のテーマは、「高度技能専門医を目指して~どうすれば?どうさせれば?」です。 「高難度肝胆膵外科手術をより安全に、かつ確実に行うことができる外科医を育てること」を趣旨として、日本肝胆膵外科学会は高度技能専門医制度を設立し、そして昨年、初代の肝胆膵外科高度技能専門医12名が誕生しました。

この日本肝胆膵外科学会高度技能専門医制度には、現在何らのインセンティブもなく、その存在そのものを疑問視する向きもありますが、高難度肝胆膵外科手術手技を第三者の目で客観的に評価するシステムが確立された現状と、そのシステムに沿って高度技能専門医を目指そうとする若手消化器外科医が確実に増加している事実は冷静に受け止めるべきと考えます。 すなわち、この制度がきっかけに、肝胆膵外科を学ぶ若手外科医も、その教育に携わる指導医も、自らの肝胆膵外科手術手技を今一度見直し、そしてさらなる高みを目指す意識改革が起こり、ひいては各施設の肝胆膵外科手技のレベルアップや教育指導体制の改善・改革に繋がる可能性をも秘めているのではないでしょうか。 このような状況を鑑み、京都肝臓外科セミナーとして今回このテーマを取り上げました。

第1部は、大津赤十字病院の土井隆一郎先生から、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医制度施設認定委員の立場で、この制度の現状について詳細な情報提供をしていただきました。施設認定の際には、当たり前のことですが、手術記録(オペレコですね)がきちんと記載/記録されていることがとても重要視されている事が分かった次第でした。若手の先生、しっかりと手術記録、特に絵/図/イラストを描く努力をして下さい!

第2部は、高度技能専門医を目指す世代の先生方の手術手技をみんなで評価しアドバイスをしましょう、という趣旨で、4人の先生からご発表いただきました。発表施設と演者は以下の通りです。
●京都医療センター 小木曾聡先生(H14卒)
●田附興風会北野病院 飯田拓先生(H9卒)
●三菱京都病院 瀬尾智先生(H8卒)
●倉敷中央病院 安近健太郎先生(H5卒)
各先生とも、各々の世代がおそらく共通して有するであろう肝臓外科手技の問題点を提示していただきました。いずれの先生も非常に前向きでaggressiveな考えをお持ちの方ばかりで、「近い将来、高度技能専門医として認定されること間違いなし!」、という大いなる期待を抱かせていただきました。

第3部は、昨年認定された初代肝胆膵外科高度技能専門医の中で唯一の女性外科医である、九州医療センター肝胆膵外科の高見裕子先生のご講演です。高度技能専門医取得に至るまでのご苦労や対策/戦略などを中心に、非常に説得力のある、そしてinformativeな内容の講演でした。我々京大同門の若手の先生方に対する大きな刺激になったと確信しております。

現行制度の下では、高度技能専門医取得への道のりは決して生易しいものではありません。若手外科医各々の技量のみでは解決しない点(認定施設での経験症例のみがカウントされる、施設認定そのもののハードルも高い、などなど)もあり、各施設の指導者に課せられた宿題も大きく、京大外科学教室全体で取り組んでいくべき問題であろう、と痛感した次第でした。

さて、次回第9回の開催日は平成24年2月25日(土)(会場:メルパルク京都)、テーマは「雑題:ビデオクリニック」です。たくさんの同門の先生方のビデオ発表を予定しております。楽しくかつ有益なセミナーにするべく、いろいろと企画しています。 ご出席/ご参加の程、宜しくお願い申し上げます。

(文責:田附興風会北野病院 寺嶋宏明)