外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

京都小児外科セミナー 2019年 秋

開催日時
2019年11月10日(日)10:30~13:00
開催場所
京都大学医学部附属病院 第2臨床研究棟8階 「セミナー室」
参加人
16名
当日プログラム
PDFプログラム
詳細

京都小児外科セミナー 2019年 秋 の開催報告をいたします。

京都小児外科セミナーは、小児外科に関する「困難症例」で、診断や治療に苦慮した症例等について、若手も含めた関連施設の小児外科が検討することにより、その場で治療法が提案されるなど、小児外科領域での知識・手技の向上を目指しております。

京都小児外科セミナー 2019年 秋 開催概要

今回の京都小児外科セミナー 2019年 秋の開催日時は、以下のとおりです。

  • 日時:2019年11月10日(日)10:30~13:00(特別講演は12:00から)
  • 場所:京都大学医学部附属病院
  •    第2臨床研究棟8階 「セミナー室」
  • 詳細:プログラム

京都小児外科セミナー 当日プログラム

京都小児外科セミナー 2019年 秋の当日のプログラムスケジュールは、以下の通りです。

10:30~12:00 症例検討会

  • *日齢25男児:
  •  鼠径ヘルニア嵌頓/停留精巣/ 尿道下裂 術中に混合性腺疑いにて摘出しミュラー管遺残症の診断
  • *2才:
  •  左腎嚢胞フォロー中。
  •  左腎レノグラムでのピークの軽度低下あり手術適応相談
  •  年単位でのレノグラムフォローを検討
  • *13才女児:
  •  繰り返す腹痛;
  •  CTにてSMA症候群を指摘され腹腔鏡下Roux-Yバイパス術を施行し軽快
  • *日齢0:
  •  卵黄嚢静脈瘤
  •  門脈内血栓形成
  •  血栓摘出術及び静脈瘤切除術
  • *5歳女児:
  •  後腹膜嚢胞性病変による腹痛
  •  腹腔鏡下切除術にて気管支原性嚢胞
  • *11か月男児:
  •  高位空腸閉鎖根治術後の絞扼性イレウスによる腸管虚血⇒捻転解除後の小腸萎縮/狭窄
  • *2ヶ月女児:
  •  特発性乳び腹水に対するICG観察下のリンパ瘻根治術
  •  PEGメッシュ+フィブリン粉による根治術成功例

12:00~13:00 特別講演

抄録

薬剤耐性菌感染症は、抗菌薬使用の増加に伴い今後さらに増加を辿ると考えられており、WHOのプライオリティリストの上位に挙げられる世界的な検討対策事項である。耐性菌のメジャーなものとしては、小児の市中感染においてはペニシリン耐性肺炎球菌、薬剤耐性ヘモフィルス、マクロライド耐性マイコプラズマ、市中感染型MRSA、等が列挙され、また院内感染症としては院内感染型MRSAと薬剤耐性グラム陰性桿菌(特にESBL産生菌)などが挙げられる。

さらに最近では侵襲性GBSやマクロライド耐性百日咳等の発生に注意する必要がある。

多残耐性菌の出現については、EU域内での研究から、各国でペニシリン処方量とペニシリン耐性肺炎球菌の率が相関する事が明らかになっており、抗菌薬への暴露から耐性菌増殖し(作られる)、不十分な院内感染対策/公衆衛生機能不十分により耐性菌が伝播(拡がる)する事により、耐性率がさらに増加する、という悪循環に陥る。

京都大学では、2004年に多剤耐性緑膿菌によるアウトブレイクを経験しているが、この際にカルバペネムの使用許可性による抗菌薬の不必要な使用の制限、また医療従事者への手指衛生や院内感染対策の励行を徹底し収束を得た。

現在、特にESBL産生菌に対するカルバペネム系抗菌薬使用に伴い、これが耐性化したカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)のアウトブレイクなども報告されており、βラクタム系に感受性のあるESBL産生菌に対して、積極的にカルバペネムスペアリングを検討する事も必要と考えられる。

さらに、PVL陽性市中感染型MRSAなどのように、海外からの流入による薬剤耐性菌のアウトブレイクも経験されており、耐性菌を作らない、拡げない、努力が医療従事者に求められている。

 

京都小児外科セミナー 2019nenn 秋