京都小児外科セミナー 2019年 秋 の開催報告をいたします。
京都小児外科セミナーは、小児外科に関する「困難症例」で、診断や治療に苦慮した症例等について、若手も含めた関連施設の小児外科が検討することにより、その場で治療法が提案されるなど、小児外科領域での知識・手技の向上を目指しております。
今回の京都小児外科セミナー 2019年 秋の開催日時は、以下のとおりです。
京都小児外科セミナー 2019年 秋の当日のプログラムスケジュールは、以下の通りです。
薬剤耐性菌感染症は、抗菌薬使用の増加に伴い今後さらに増加を辿ると考えられており、WHOのプライオリティリストの上位に挙げられる世界的な検討対策事項である。耐性菌のメジャーなものとしては、小児の市中感染においてはペニシリン耐性肺炎球菌、薬剤耐性ヘモフィルス、マクロライド耐性マイコプラズマ、市中感染型MRSA、等が列挙され、また院内感染症としては院内感染型MRSAと薬剤耐性グラム陰性桿菌(特にESBL産生菌)などが挙げられる。
さらに最近では侵襲性GBSやマクロライド耐性百日咳等の発生に注意する必要がある。
多残耐性菌の出現については、EU域内での研究から、各国でペニシリン処方量とペニシリン耐性肺炎球菌の率が相関する事が明らかになっており、抗菌薬への暴露から耐性菌増殖し(作られる)、不十分な院内感染対策/公衆衛生機能不十分により耐性菌が伝播(拡がる)する事により、耐性率がさらに増加する、という悪循環に陥る。
京都大学では、2004年に多剤耐性緑膿菌によるアウトブレイクを経験しているが、この際にカルバペネムの使用許可性による抗菌薬の不必要な使用の制限、また医療従事者への手指衛生や院内感染対策の励行を徹底し収束を得た。
現在、特にESBL産生菌に対するカルバペネム系抗菌薬使用に伴い、これが耐性化したカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)のアウトブレイクなども報告されており、βラクタム系に感受性のあるESBL産生菌に対して、積極的にカルバペネムスペアリングを検討する事も必要と考えられる。
さらに、PVL陽性市中感染型MRSAなどのように、海外からの流入による薬剤耐性菌のアウトブレイクも経験されており、耐性菌を作らない、拡げない、努力が医療従事者に求められている。