外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

第14回京都大学外科夏季研究会

開催日時
開催場所
京都センチュリーホテル1F瑞鳳の間
参加人
202名
当日プログラム
PDFプログラム
詳細

1.京都大学外科学教室紹介(14:00-14:15) 事務局 :稲本俊

  • 京都大学消化管外科教授:坂井義治先生
  • 京都大学肝胆膵・移植外科教授:上本伸二先生
  • 京都大学乳腺外科教授:戸井雅和先生

2. 乳癌手術における腋窩リンパ節の取扱い(14:15-16:00)

  • 座長:三菱京都病院:新蔵信彦
  • 座長:京都医療センター:三瀬圭一

I,アンケート集計報告

II 演題発表

  • 三菱京都病院:新蔵信彦先生
  • 京都医療センター(乳腺クリニック児玉外科):三瀬圭一先生
  • 北野病院:加賀野井純一先生
  • 神鋼病院:山神和彦先生

III 自由討論

3.映像による施設紹介 (16:00-16:30)

  • 司会:京都大学乳腺外科:杉江知治
  • 静岡市立病院
    公立甲賀病院
    日本赤十字社和歌山医療センター

報告

  • 第14回京都大学外科夏季研究会が8月2日京都センチュリーホテルで開催され、二百余名の参加をいただきました。
  • 冒頭に坂井、上本、戸井教授より各講座の診療、研究についての現状ならびに今後の方針についての紹介がありました。続いて今回のテーマーである「乳癌手術における腋窩の取扱い」について、事前に行ったアンケートの結果を報告いたしました。
  • 京大関連26施設より回答を得ましたが、2007年度に行われた乳癌手術の総数は1552例であり、そのうち浸潤癌 1348例、非浸潤癌 203例でありました。センチネルリンパ節生検はすでに88%の施設で行われており、同定方法は蛍光法33%、色素法29%、RI法13%でした。特にICGを用いた蛍光法は、同門である鍛先生、橋本先生らが開発・臨床応用した京都大学外科オリジナルな手技といってよく、京大関連施設にもこの手技が普及していることが確認されました。
  • 今回のアンケートの中で各施設がそれぞれ独自の基準を持っていたのが、センチネルリンパ節の摘出数や多中心性乳癌への適応、術前化学療法を行う場合のセンチネルリンパ節生検の施行時期、DCISでの腋窩郭清範囲でした。これらの項目については、今後京都乳癌コンセンサス会議等を通じて、京大関連施設間でコンセンサスを形成する必要があると思われます。
  • 演題発表では、最初に三菱京都病院の新蔵信彦先生から標準的な腋窩リンパ節郭清について発表していただきました。
  • センチンルリンパ節生検の普及にともない、若い乳腺外科医が腋窩郭清を行う機会が少なくなっていることを踏まえて、腋窩の脈管、神経の解剖、郭清時の注意点などビデオを供覧しながら解説していただきました。
  • 京都医療センターの三瀬圭一先生からは、腋窩下部郭清についてのコンセプト、ビデオによる手術手技の紹介が行われました。
  • センチネルリンパ節生検が普及するなか、腋窩下部郭清が病期診断だけではなく、腋窩の局所治療に関しても有効であることを児玉外科での臨床成績にもとづいて発表していただきました。
  • 会場からは、このすばらしい方法を一施設の手技にとどめず、臨床試験による検証を行って広く普及いていただきたいとの意見もよせられました。
  • 北野病院の加賀野井純一先生からは、京大関連施設では少ないRI法によるセンチネルリンパ節生検の手技の紹介がなされました。
  • RI法は世界的にはセンチネルリンパ節生検の標準的手法といってよく、ビデオを供覧しながらRI法の成績や長所について発表していただき、今後RI法を導入する予定の施設には参考になったと思われます。
  • 最後に、神鋼病院の山神和彦先生からは、ICG蛍光法について、その手技の紹介と多くの臨床成績が報告されました。世界標準であるRI法に匹敵するこの蛍光法は、今後日本発の新しいセンチネルリンパ節の同定法となる可能性があり、論文等によってひろく世界に情報を発信する必要があると思われます。
  • 自由討論では、アンケート結果でコンセンサスが得られていない項目について演者の先生からご意見をいただきました。
  • 第三部では、静岡市立病院、公立甲賀病院、日本赤十字社和歌山医療センターから、研修医のための施設紹介をしていただきました。
  • ユニークな写真やウイットに富んだ紹介は各施設の特色が十分生かされており、ときに会場の笑いをとりながら和やかな雰囲気のなかで研究会は無事終了いたしました。
  • 今回の研究会では腋窩の取扱いについて手術・センチネルリンパ節生検にわたり総合的な討論を行いました。討議をとおして乳癌外科医はもとより、日頃乳癌になじみのない消化器外科の先生方にも、乳癌診療の現状やこれからの課題について少しはご理解いただけたものと思っております。

 

  • 平成20年8月24日
  • 第14回当番世話人
  • 三菱京都病院:新蔵信彦
  • 京都大学乳腺外科 杉江知治