2005年3月 東京女子医科大学卒業 |
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お名前: 笠原 桂子先生(2005卒) |
所属施設: 京都大学消化管外科 |
この度、2023年4月27日(木)~29日(土)に開催された第123回日本外科学会定期学術集会において『優秀演題賞』を受賞させていただきましたため、ご報告申し上げます。
サージカルフォーラムとして、586演題が採用された中で13演題が選出されました。
受賞された演題について、私は『医師の2024年問題解決への取り組み』という演題名で発表させていただきました。
これは来年4月から始まる医師の働き方改革に向け、2022年1月から行っている当科の取り組みについて紹介するとともに、取り組み前後での当科の医師の時間外労働時間の変化を解析したものです。
当科だけでなく、京都大学外科交流センター全体が、医師の働き方改革に対して前向きに取り組んでおり、その取り組みを客観的に評価できないか、と思って発表させて頂くこととしました。
現在私は、総合臨床教育・研修センターの教員としても勤務しており、院内で働く約120名の研修医の労働環境の改善に向けて病院と話し合いを続けている状況で、現場での問題をどのような方法で評価し改善していくのか、頭を悩ませていることも発表へのきっかけになったと思います。
昨今、学会で発表する演題には、倫理委員会での承認が求められることが多いかと思いますが、医師の時間外労働時間が「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に沿うべき解析対象であろう、という当院での倫理委員会の解釈もあり、倫理委員会で承認が得られるような研究計画を仕上げることが大変でした。
発表に伴い対象の先生方にはアンケートなどもご協力を頂きましたが、皆さんとても好意的でしたので、データ収集という点で特に困ることはありませんでした。
今回の受賞は、医師の働き方改革に対して、時期を逸することなく改革を始めた当科の取り組みに対して評価されたものと思っています。
私が発案したわけでもなく「すでに動いている事象を客観的に観察した」ということだと思います。
研修センターとの兼任ということもあり、臨床に没頭することは、正直難しい状況です。
外科医としてのアイデンティティに悩むこともないとは言えませんが、このような立ち位置だからこそ、今回の発表ができたのではないかと思っています。
どんな立場からでも、どんな発表でも意味はあるんだな、と少し自分を取り戻すきっかけにはなりました。
受賞の連絡を頂いたときは「なぜ、この発表に?」と疑問しかなく、発表当日も半信半疑でしたが、頂けるものはありがたく受け取らせて頂きました。
このような過分な評価を頂いたことを、少しだけ自信にして、自分のできることを頑張っていこうと
思っています。