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お名前: 宍戸 裕先生(H28卒) |
この度は英語論文個人戦で表彰を賜り、心より御礼申し上げます。受賞を知ったのが冬季研究会終了後で、リモートでの参加も叶わなかったことをお詫び申し上げます。
今回の受賞は、ひとえに神鋼記念病院消化器外科スタッフの皆様から頂いたご指導の賜物であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
また、本寄稿の機会をくださいました京都大学外科交流センターの皆様にも、重ねて御礼申し上げます。
私は兵庫京大外科プログラム在籍中、呼吸器外科専攻医として主に神戸市立医療センター中央市民病院で勤務する一方で、その一環として半年間、神鋼記念病院で消化器外科専攻医として勤務させていただきました。
また、専攻医期間終了後には、神鋼記念病院で消化器外科医師として引き続き勤務させていただきました。
神鋼記念病院では、熱心な消化器外科スタッフの皆様のご指導の下、一般的な手術から高難度手術に至るまで幅広い執刀経験を積ませていただき、消化器外科手術の魅力や外科手技を基礎から学ぶことができました。
また、消化器外科医師としての力量や経験が不足している中、専攻医期間終了後も温かく迎え入れていただき、外科スタッフの皆様の人柄に深く感銘を受けました。
呼吸器外科専攻医として転移性肺腫瘍の手術経験があったことに加え、神鋼記念病院での大腸癌手術の経験を踏まえ、特に大腸癌肺転移の予後に関心を持ち、神鋼記念病院のデータを用いて以下の論文を執筆させていただきました。
Shishido Y, Ishii M, Maeda T, et al. Survival outcomes of lung metastases from colorectal cancer treated with pulmonary metastasectomy or modern systemic chemotherapy: a single institution experience. J Cardiothorac Surg. 2023 Nov 14;18(1):327. doi: 10.1186/s13019-023-02434-8.
電子カルテに加え、紙カルテを取り寄せて手書きの患者記録を解析する作業は大変骨の折れるものでしたが、石井正之元部長や外科秘書の柴山さんからご指導とご協力を賜り、論文化することができました。
また、藤本康二元副院長の多大なご支援を受け、2023年5月より米国・テネシー州のVanderbilt University Medical Centerに研究留学する機会をいただいております。
Vanderbilt University Medical Centerは心停止 (DCD)ドナーに対する常温部分還流 (Normothermic Regional Perfusion) を早期から導入しており、2023年度の臓器移植件数は全米第5位の施設です。
私は現在、肺移植外科医でECMOおよび体外臓器還流のエキスパートであるDr. Matthew Bacchetta、ならびに肝移植外科医でSurgeon-in-ChiefでもあるDr. Seth Karpのご指導の下、豚DCDモデルを用いた肝移植および体外機械還流の研究に従事しています。
幸いにも初期実験結果を基に研究資金を獲得することができ、研究の立案・計画、大動物手術、研究資金の管理に至るまで、プロジェクト全体の管理と遂行に包括的に携わらせていただいています。
Shishido Y, Tracy KM, Petrovic M, et al. Novel Dynamic Organ Storage System Enhances Liver Graft Function in a Porcine Donation After Circulatory Death Model. ASAIO J. 2024 Dec 18. doi: 10.1097/MAT.0000000000002365.
これらの研究活動の礎は、東山洋院長をはじめ神鋼記念病院の外科スタッフの皆様が私を快く迎え入れ、研究留学を後押ししてくださったおかげであり、改めて深く感謝申し上げます。
2025年8月から、University of RochesterのASTS (米国移植外科学会) Accredited Abdominal Transplant Surgery Fellowship ProgramにてClinical Fellowとして勤務する予定です。
同施設では、大腸癌肝転移に対する肝移植を含むTransplant Oncologyの分野に積極的に取り組んでおり、これまでの腫瘍外科での経験を活かしつつ、業務に従事したいと考えています。
また、同プログラムのディレクターを京都大学外科交流センター会員である冨山浩司先生が務めておられることから、京都大学外科交流センターとのご縁を改めて感じております。
誠に勝手ながら米国に留学中の私をこのように表彰してくださった京都大学外科交流センターの寛容さと懐の深さに深く感銘を受けるとともに、心より御礼申し上げます。
今後とも変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。