外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

令和4年度学術表彰 The Highest Impact Factor賞受賞コメント:海道利実先生

 

【略歴】
京都大学医学部附属病院 外科研修医
公立豊岡病院 外科
京都大学腫瘍 外科助手
大津市民病院 外科医長
京都大学肝胆膵移植外科・臓器移植医療部 准教授

【資格】
日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・評議員
日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医・評議員
日本肝臓学会 ・専門医・指導医・評議員・生涯教育医員
日本移植学会 代議員・移植認定医・脳死分割肝移植推進委員
日本臨床外科学会 評議員
日本外科感染症学会 評議員・教育委員
日本静脈経腸栄養学会 学術評議員・肝疾患ワーキングチーム長
日本微量元素学会 評議員
日本サルコペニア・悪液質・消耗性疾患研究会 世話人
亜鉛栄養治療研究会 世話人
Executive council member of Living Donor Liver Transplantation Study Group

お名前: 海道 利実先生(1987年卒)

所属施設: 聖路加国際病院

この度は、令和4年度京都大学外科冬季研究会学術表彰におきまして、The Highest Impact Factor賞(IF 7.293)をいただき、誠にありがとうございます。

寺嶋理事長、貝原学術教育委員長はじめ、関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

以前は、賞をお渡しする立場でしたので、今回、受賞の連絡を受けました際も、「えっ、何の賞だろう?」と驚きましたのが正直なところです。

受賞 論文について

本論文「Short postoperative hospital stay after pancreaticoduodenectomy: What is real minimally invasive surgery? Hepatobiliary Surg Nutr 2021;10:853-6」は、2019年10月に聖路加国際病院消化器・一般外科に異動後に行ったイノベーションを論文にしたものです。

具体的には、従来、膵頭部癌などに対して施行される膵頭十二指腸切除術の術後在院日数は約3週間とされ、わが国の外科医の常識でした。

 

しかし、二次性サルコペニアの原因ともなる長期入院を短縮させようと、ERAS(Enhanced Recovery After Surgery)に基づく周術期管理の導入や膵液瘻などの術後合併症を防ぐ手術手技の実践などにより、術後在院日数中央値8日(最短6日)という「日本で一番早い」術後在院日数を達成することができ、この取り組みを論文で報告したものです。

さらに、真の低侵襲手術とは、腹腔鏡手術やロボット支援下手術などの手段によって定義される(=外科医目線)ものではなく、早期回復や早期退院を可能にする手術である(=患者さん目線)と論じています。

今後も、京都大学で学んだチーム医療の実践や新たな発想により、患者さんのベネフィットとなるようなイノベーションを起こして、質の高い論文を書いていきたいと思います。
と同時に、私よりもっと若い世代が、良い研究をして、Impact Factorの高いジャーナルにacceptされ表彰されますことを、切に祈ります。

メッセージ

なお、当院は日野原重明名誉院長や福井次矢前院長が京都大学卒業ということもあり、京都大学とは浅からぬ縁があります。

そのためか、毎年、京都大学卒業の初期研修医が入職し、楽しく研修しています。

実は、今日も一緒に楽しく手術しました。外科専攻医も募集しておりますので、是非、やる気のある方は当院で研修して下さい。

 

また、当院は銀座や築地の近くにあり、院内にはチャペルがあり、芥川龍之介の出生の地でもあります。

さらに併設の聖路加タワー47階には、遠く富士山まで見渡せるレストラン・ルークがあります。東京に来られました際にはご案内いたしますので、是非、ご連絡下さい。

 

最後になりましたが、京都大学外科交流センターのさらなるご発展と会員の皆様のご健勝を心よりお祈りいたします。

今後ともご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。