外科治療の向上と優秀な 外科医 を育成する
一般社団法人京都大学外科交流センター
11:00~18:00(月〜金)

時代に求められる外科医を目指して~KnifeとPenを使い熟す~

 

お名前:安宅 亮先生(2017卒)

所属施設: 大津赤十字病院

この度、令和2年度京都大学外科冬季研究会の学術表彰において、”戸部隆吉賞” ならびに ”英文論文部門個人戦” の2部門で表彰して頂きました。今回は、コロナウイルス感染対策として縮小開催でありましたため、当日参加を控えさせて頂きましたが、自分の業績が形として評価されることは大変光栄であり、この場をお借りして感謝の意を述べさせて頂きたく存じます。

まだ卒後4年の若輩でありますが、折角の機会を頂戴しましたので、僭越ながら私が論文を書き始めた転機や原動力等を寄稿させて頂きたく存じます。

転機となった”一言”

私は、初期研修1年目を静岡県立総合病院で過ごしました。全く自分と縁もゆかりもない環境の中で、医師としてスタートした訳ですが、実臨床においては、学生の医学知識では到底太刀打ち出来ないことを痛感しました。特に私が志していた外科領域では、どうしても技術や経験の占める割合が多く、「出来ない」「“分からない」ともどかしく感じる事が多々ありました。圧倒的外科初心者が「なんとか先達方より一歩抜きん出る方法は何かないか」と模索している時でした。ある日、指導医の先生が『外科志望なら、試しに1本書いてみようか?』と言って下さったのが、大きな転機となりました。

執刀と執筆

言われるがままに発表準備や執筆をしてみると、その過程では”多くの知識に触れる”事ができました。
机上であれば ”出来ない” ”分からない” をすぐに、解決することが可能でした。更にそれらを発表することで「自分の存在を周囲へ示すことが出来る、意義深い仕事である」と考えるようになりました。

何本か書き上げる中、ある概念に気が付きました。それは「手術を執刀する事」と「論文を執筆すること」は同じ枠組みに存在するのではないか?という概念です。各々の時間軸や時間感覚は微妙に異なりますが、刀(Knife)を執る事” と “筆(Pen)を執る事” には、共通の執念や覚悟が必要であると信じています。昔の格言には『ペンは剣より強し(The pen is mightier than the sword)』と優劣を付ける言葉もありますが、情報過多な現代では、”その両方をバランス良く使い熟す者が、時代に求められる外科医” なのかも知れません。

大それたことを述べましたが、医学では一朝一夕で達成出来ることは存在せず、一歩ずつ進むしかありません。
課題が山積みになり葛藤等を伴うこともありますが、そのお陰で私は臨床において常に  “+α”  を心掛けるようになりました。“+α” というのは、最低限こなす必要のある仕事以外の事であり、 Techniqueを身に付ける、 Movieを見る、Presentationを作る、Paperを書く、Reviewを考える等に分類されます。毎日 “+α” 余裕のある日は “+2α” (流石に “+3α” となると中々大変ですが)を意識する事で、一歩ずつ精進出来ればと考えております。

謝辞

最後になりましたが、静岡県立総合病院 及び 京都大学医学部附属病院にて御指導頂きました先生方、そして現在、大津赤十字病院で御指導頂いております先生方へ、改めて深く感謝申し上げます。まだ未熟過ぎる駆け出し者であります故、今後も京都大学外科交流センター会員の先生方皆様には、御指導賜りますよう、宜しく御願い申し上げます。