「膵頭部領域疾患に対する膵頭十二指腸切除術後内外分泌機能の検討」
国立病院機構京都医療センター 成田匡大先生
「胆管のバリエーション」
京都桂病院 西躰隆太先生
「市中病院で行う肝門部領域胆管癌に対する肝膵同時切除」
天理よろづ相談所病院 木村有佑先生(H24 卒)
「肝門部領域胆管癌に対する胆道再建を伴う拡大左肝切除例」
神戸市立医療センター中央市民病院 北村好史先生(H13)
「主膵管と交通した肝門部再発腹膜偽粘液腫に対する肝部分切除、膵頭十二指腸切除術の一例」
岸和田市立病院 山中健也先生(H13 卒)
「先天性胆道拡張症術後に発症した胆管癌に対する膵頭十二指腸切除術、肝門部胆道再建の一例」
静岡市立静岡病院 藤本康弘先生(H4 卒)
「後区域胆管に変異を伴う多発肝内結石に対する肝切除」
京都桂病院 西躰隆太先生(H4 卒)
京都大学肝胆膵移植外科 教授 上本伸二 先生
2017年9月30日(土曜日)にメルパルク京都において第20回京都肝胆膵外科セミナーを開催いたしました。
他の研究会と日程が重なったこともあり前回のセミナーよりも若干少ない参加人数とはなりましたが、東は静岡から西は九州・小倉まで数多くの施設から82名の先生方にご参加いただきました。皆様に厚く御礼申し上げます。
今回は「胆道再建を伴う手術」をテーマとして募集し、応募いただいた演題の中から事務局内で協議の結果、5題を採択させていただきました。採択できなかったご施設にはこの場を借りて改めてお詫び申し上げますとともに、今後のセミナーへのご協力をお願いする次第です。採択させていただいた5題を標準的な肝門部領域胆管癌とやや珍しい症例に分け、2部構成で会を進行させていただきました。
天理よろづ相談所病院:
木村有佑先生からは肝門部領域広範囲胆管癌に対する肝右葉切除および膵頭十二指腸切除術(肝右葉HPD)を提示いただきました。外科手術の中でも最も侵襲度が高く、高難度の術式を市中病院でも安全に施行し得た症例であり術式選択や再建法に関するdiscussionをいただきました。
神戸市立医療センター中央市民病院:
北村好史先生からは肝門部領域胆管癌に対する拡大肝左葉切除術を提示していただきました。水平進展範囲を3D-CT画像を用いた綿密な術前評価に基づいて術式決定され、出血量・手術時間ともに大変少なく、安定した手術手技を提示していただきました。血管と胆管の3D-fusion画像をより簡便・確実に獲得するためにCO2 cholangiographyとdynamic CTの同時施行などが議論されました。
岸和田市立病院:
山中健也先生からは主膵管と交通した肝門部再発偽粘液腫に対して肝部分切除術および膵頭十二指腸切除術を施行した症例を提示していただきました。多数回の手術を余儀なくされる難治性疾患に対する再切除症例であり、同疾患に対する豊富な経験を基にした術式選択や技術を供覧していただきました。
静岡市立病院:
藤本康弘先生からは先天性胆道拡張症術後に発症した胆管癌に対する膵頭十二指腸切除術・肝門部胆道再建をご提示いただきました。これも疾患の特性をよく理解した術式選択が要求されますが、上本伸二教授をはじめとする経験豊富な諸先生方から大変示唆に富むご指摘・コメントをいただきました。
京都桂病院:
西躰隆太先生からは後区域胆管に変異を伴う多発肝内結石に対する肝切除術をご提示していただきました。西躰先生には今回のミニレクチャーにおいて「胆管のバリエーション」に関するレビューをしていただいた上でのご発表であり、レクチャーの内容を有機的に理解できたものと思われます。
京都医療センター:
成田匡大先生からは、「膵頭部領域疾患に対する膵頭十二指腸切除術後内外分泌機能の検討」に関する新たな多施設共同臨床研究(「膵頭十二指腸切除術後残膵膵管拡張の臨床的意義とそのリスクファクターの同定:多施設共同前方視的コホート研究」(DAIMONJI-Study))の説明をしていただきました。膵切除術もテーマとして取り上げるようになった本セミナーを中心にして立ち上げる新たな多施設共同研究です。
皆様のご協力をお願い申し上げます。
本セミナーを立ち上げられた前事務局(寺嶋先生、光吉先生、波多野先生)の後を継いで第11回セミナーから10回にわたり事務局を担当してまいりました現事務局のうち藤川・西躰・安近の3名は今回セミナーをもちまして事務局を退任し、新事務局として京都大学肝胆膵移植外科:石井隆道先生、京都医療センター:成田匡大先生、北野病院:内田洋一朗先生が就任されることが幹事会で承認されました。京都大学肝胆膵移植外科:増井俊彦先生には引き続き事務局に残っていただくこととなります。
現事務局での運営に際しては多くの至らない点があったと存じますが、毎回多くのご参加をいただきました。すでにご承知のとおり、第17回以後は膵切除術もテーマとして取り上げるよう発展することもできました。
これもひとえに皆様のご指導・ご協力の賜物であると現事務局一同深く感謝申し上げます。
今後さらに良いセミナーを開催していくために、これまでのセミナー運営に対するご意見をアンケートさせていただきました。多くの温かいご意見をいただく一方で、厳しいご指摘も賜りました。ご協力いただき誠にありがとうございました。ご意見を参考に本セミナーはさらに発展してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
次回は2018年3月24日(土曜日)にいつも通りメルパルク京都において開催を予定しております。具体的なテーマが決まりましたら新事務局より改めてご報告させていただきますので、次回以後も多くの皆様のご参加をよろしくお願い申し上げます。
2017年12月
京都肝胆膵外科セミナー事務局一同
文責:安近健太郎