大腸癌肝転移症例に対する肝切除のテクニックとコンセプト
肝臓外科における手術テクニックやコンセプトを京都大学外科の同門同士が共有し,技術交流や人的交流を図る事を目的に発足された「京大関係病院肝臓外科セミナー」の第2回本会が7月26日(土)炎天下の京都で開催されました。
まさに”うだるような”真夏の京都の天候にも関わらず,103名もの数多くの先生に御参加頂きました。第2回のテーマは、FOLFOX/FOLFIRIといった新規抗癌剤の保険適用後、治療戦略上の新たな展開を迎えている転移性肝癌を取り上げ、「大腸癌肝転移症例に対する肝切除のテクニックとコンセプト」としました。
以下の6施設から、①大腸癌肝転移の肝切除の適応、②切除可能同時性肝転移の治療戦略、③肝細胞癌に対する切除との手技上の相違点、④腹腔鏡下手術の位置付け、⑤新規抗癌剤(FOLFOX/FOLFIRI)を交えた肝切除治療戦略の経験、⑥術後補助化学療法のレジメ、についての各施設のコンセプトと手術手技のビデオが発表されました。
1. 三菱京都病院の濱口雄平先生:Mevis systemを用いた画像診断/解析とそれを利用した術式検討につき、S7部分切除を例に呈示して頂きました。
2. 大津赤十字病院の田村淳先生:右肝静脈に接して後区域に局在する腫瘍に対する切除のビデオを呈示して頂きました。
3.
大阪府済生会野江病院の太田秀一先生:転移性肝癌に対して腹腔鏡下手術を積極的に導入されており、腹腔鏡下肝部分切除のコツとピットフォールについて呈示して頂きました。
4. 京都市立病院の松尾宏一先生:FOLFOX6による術前化学療法後の右葉切除の手術手技を、化学療法後肝切除の特異点を踏まえて呈示して頂きました。
5. 大阪赤十字病院の西田久史先生:直腸癌の同時性肝転移症例に対する腹腔鏡下低位前方切除+腹腔鏡下外側区域切除という興味深い症例を呈示して頂きました。
6. 京都大学肝胆膵移植外科の波多野悦朗先生:化学療法によって惹起される肝障害と化学療法後の肝切除についての知見と臨床経験を教示していただき、腹腔鏡補助下肝右葉切除のポイントについてビデオで呈示して頂きました。ss
各演題に対する質疑応答が活発で、予定の2時間を約1時間近くオーバーしてしまいました。全体討論に当てる時間がほとんど無かった事は司会の不徳の致すところで、今回の反省点であり、また次回以降の課題と考えております。しかしながら、多くの若手の先生に参加して頂き、このセミナーの方向性が少し見えてきた思いがしました。
第3回は来年の1月31日(土)にメルパルク京都にて開催する予定です。
テーマは「肝切除の知っておくべきテクニック~術中出血量を減らすコツと各種テーピング操作~(仮)」を取り上げる事にしております。積極的なご発表(自薦他薦を問わず)とともに、たくさんの同門の先生のご参加をお待ちしております。