「腹腔鏡下肝切除を考える」
遅くなりましたが、第6回京大関係病院肝臓外科セミナーの報告を致します。
猛暑の中、約80名の同門の諸先生方(さらに今回は、このセミナーに関心を寄せて頂いた京都府立医大の先生にもご参加いただきました!)にご出席頂きました。今回のテーマは、「腹腔鏡下肝切除を考える」です。
第1部は腹腔鏡下肝切除に関する話第提供として、まず京都大学肝胆膵移植外科の波多野先生から、腹腔鏡下肝切除におけるterminology・手技上の基本的知識(適応・体位・器機/器材)・日本と世界での腹腔鏡下肝切除の現状を解説していただきました。そして、共催のCSLベーリング社からは、腹腔鏡下手術における生理的組織接着剤の使い方についてmini lectureをしていただきました。
第2部は関連病院から治療経験を報告して頂きました。発表施設と演者は以下の通りです。
・社会保険小倉記念病院
藤川 貴久先生(H.4卒)
・三菱京都病院
瀬尾 智先生(H.8卒)
・大阪府済生会野江病院
太田 秀一先生(H.3卒)
・京都桂病院
吉野 健史先生(H.18卒)
・天理よろづ相談所病院
政野 裕紀先生(H.16卒)
・大阪赤十字病院
有本 明先生(S.52卒)
各施設とも、施設の事情に応じた腹腔鏡肝切除の導入手順を踏み、いろいろな試行錯誤を繰り返しながら症例経験を積み重ねている、という印象を受けました。
しかしながら、大阪赤十字病院の86例という全国レベルに匹敵する症例数は別格としても、各施設とも未だ10例前後の経験数であり、発展途上の状況です。
手技的にも従来の開腹肝切除とは大きく異なる点や、腹腔鏡下手術ならではの”Dos and Don’ts”も多数あり、この新しい知識と技術を身につけるべく、大いに研鑽を積まねばならない、と思いを新たにした次第です。
第7回の開催日は平成23年3月26日(土)(会場:メルパルク京都)です。テーマは未定ですが、次回は平成4年卒の若い世代に当番世話人となって頂き、思う存分やりたいように進行して頂きます。非常に楽しみです。ご期待下さい。
(文責:田附興風会北野病院 寺嶋宏明)